成分名:サリチル酸ナトリウム 

 

(規制)

 

 

(商品名)

神経用薬

 注射剤;ザルソブロカ糖注NZ@、レフレッシンSAサーパスB

      ピラピリンC

 

代謝性用薬

 注射剤;インフェゾール-V注射液D強力OSMEネオサノリンFサノリンG

オスカリンSH     

 

 

(用法・用量)

 

・体重1kg当たり下記量を1回量として112回静脈内に注射する。(商品名@A)

牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫:0.10.5mL

・体重1kg当たり下記量を1日量として13回を限度として静脈内に注射する。(商品名C)

牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫:0.10.2mL

・体重1kg当たり10.12mLを静脈内に注射する。(商品名EFGH)

・体重1kg当たり下記量を静脈内に注射する。(商品名D)

牛:13mL

・体重1kg当たり10.10.2mLを静脈内に注射する。(商品名G)

・痛覚のある局所に1ヶ所23mLずつ、約510cm間隔に筋肉内に注射する。(商品名B)

 

 

(使用上の注意)  詳細は、各社使用説明書参照のこと。

 

対象動物に対する注意

制限事項 (商品番号@〜C)

1) 本剤は腎機能障害、脱水症、器質性脳障害のあり患畜に対しては、慎重に投与すること。

2) 本剤は、サリチル酸製剤に対して過敏な患畜には投与しないこと。

副作用

1) 本剤の有効成分であるサリチル酸ナトリウムは、経口又は腹腔内投与によるラットの動物試験で催奇形作用が報告されているので、妊娠及び妊娠している可能性のある動物には慎重に投与すること。

2) 本剤の有効成分であるサリチル酸ナトリウムは実験動物において変異原性を示したとの報告がある。

適用上の注意

カルシウム含有製剤では、血管外漏出により、組織内石灰沈着症が生じたと報告されているので、注射の際は血管外に漏出しないよう注意すること。

 

 

(休薬期間:使用禁止期間)

 

休薬期間:本剤投与後、下記の期間は食用に供する目的で出荷等を行わないこと。

牛、馬、めん羊、山羊、豚:2日間、牛乳:24時間 (商品番号@A)

馬:4日間 (商品番号B)

牛、馬、羊、山羊、豚:10日間、牛乳:24時間 (商品番号C)

商品番号D〜Hは休薬期間についての記載なし

 

 

「副作用」

 

・概論

 NSAIDs (nonsteroidal anti-inglammatory drugs、非ステロイド系抗炎症薬) と呼ばれる薬効群はアスピリン系の鎮痛下熱薬のことである。ここではNSAIDsの薬理をアスピリンを代表薬として説明する。NSAIDsは中程度の強さを持つ有機酸である。有機化学を復習しておくと、有機酸には2種類の型がある。カルボン酸もエノールも酸としては弱い中程度の酸の化合物が多い。獣医領域で汎用されるサリチル酸は分子中にカルボン酸基とエノール基の両方を以ており、かなり強い酸である。このNSAIDsに共通した副作用は胃のビラン、胃腸粘膜の潰瘍である。この副作用はどの薬物でも、またどの動物種でも見られるが、特に抗炎症作用の強い薬が強く、また犬猫の感受性が高い。1)

 

1. (家畜衛生週報・動物用医薬品副作用情報)

副作用及び症状

投与経路

発生数

転 機

治癒

死亡

不明

記載なし

ショック

注射

2

1

1(廃用)

 

 

  

1

 

 

 

 

蕁麻疹

2

2

 

 

 

心拍数増加・複式呼吸

1

1

 

 

 

 

相互作用

 サリチル酸系薬剤はクマリン系抗凝血剤 (ワルファリン) の作用を増強することがあるので、クマリン系抗凝血剤の減量等慎重に投与すること。またサリチル酸ナトリウムは糖尿病用剤 (インスリン製剤及びトルブタミド等) の作用を増強することがある。糖尿病用剤の減量等慎重に投与すること。2)

 

ヒトへの影響

 ショック、過敏症による発疹・浮腫・鼻炎症状等、肝臓・腎臓への障害、血液性状の異常 (再生不良性貧血・白血球減少等)、消化器への異常 (胃痛・悪心・食欲不振・嘔吐等)、耳鳴り・めまい等の副作用の報告がある。3) 4) 5)

 

 

[安全性]

 

サリチル酸誘導体

 サリチル酸属は、解熱、鎮痛 (知覚神経末梢の麻痺) 及び抗リウマチの作用を有し、関節痛及び発熱に効を奏する。局所的には弱い抗炎症作用と角質の溶解作用をもち、皮膚及び消化管からの吸収は早い。筋肉リウマチ、関節リウマチなどリウマチ性疾患の治療には著効がある。製剤にはサリチル酸、サリチル酸ナトリウム (ザル曹)、およびアセチルサリチル酸 (アスピリン) などがある。6)

 

 

[残留性]

 

体内動態

1.

 牛にサリチル酸Naを静注した場合の血漿中濃度の時間的変化は、サリチル酸の作用の出方は血漿中濃度で決まり、50mg/L以上では沈痛下熱作用が、150mg/L以上では消炎作用が出ます。牛に50mg/kgを靜注した場合血漿中の初濃度が300mg/L程度になりますから、消炎作用は期待できます。しかし消失が早いので、1時間半もたてば作用は全くなくなります。サリチル酸Naは刺激性が強いので皮下注射や筋注には向きません。それでも筋注すれば若干は作用が長くなりますが、せいぜい1時間程度しか作用が延びません。つまり、サリチル酸Naの注射剤を牛に用いるのは不適当です。7)

 

2. サリチル酸とアスピリン

 アスピリンはサリチル酸の胃の副作用を弱めた誘導体で、経口投与後に吸収されてサリチル酸に変わる。注射剤にはサリチル酸ナトリウム (またはブロム剤と配合したザルブロ製剤) を用いる。サリチル酸は鎮痛、下熱、消炎のいずれの作用も強いので応用範囲が広い。しかし牛に注射すると半減期が30分であるから1時間2回の割合で注射しないと有効濃度を維持できない。100mgを経口投与するとルーメンを経てゆっくり吸収されるので12時間程度は有効濃度を確保できる。したがって牛における有効な投与法は経口投与だけである。1)

 

3. 非ステロイド系抗炎症薬の薬効動態

 ほとんどのNSAIDの血漿タンパク結合性は高い (90%を超える)、フニルブタゾンとフルニキシンは99%を超えるが、サリチル酸は例外的に低く50%である。タンパク結合性が高い為にほとんどのNSAIDk腎排泄は制限されている。サリチル酸はタンパク結合性が低く、他のNSAIDより高い濃度で排泄され、その排泄速度はpH依存性である。サリチル酸代謝物はサリチル酸を投薬していない馬の尿からしばしば検出される。サリチル酸は多くの飼料作物に天然に含まれており、ある種のマメ科植物 (アルファルファ) 中の濃度はかなり高い。8)

 

 

[非臨床試験]

 

1. 急性毒性

実験動物におけるLD50 (mg/kg)

動物種

マウス

ラット

イヌ

ウサギ

投与経路

  

900

1600

 

1700

腹腔内

560

 

 

 

  

760

 

 

 

  

 

 

562

 

 

2. 変異原性

1) Bacillus subtillis H17 (Rec+) M45(Rec-)を用いたRec-assay、寒天平板上にH17M45をそれぞれ線状に播き、その一端に0.255mgの薬剤を染み込ましたペーパーディスクを載せた後、4℃で24時間、さらに37℃で24時間培養し、増殖抑制された部分の長さを測定した。H17M45の抑制された長さの差が2mm以上の薬剤を細胞DNAの損傷があると判定した。サリチル酸ナトリウム (5mg)、サリチル酸メチル (5mg)、サリチルアミ (5mg) 等にはDNA損傷性はみとめられなかった。10)

2) 6種類のサリチル酸誘導体ASA (アセチルサリチル酸)SAL (サリチル酸)SM (サリチルアミド)DF (ジフルサニル)NaSAL (サリチル酸ナトリウム)NC (ニクロサミド) の遺伝毒性について、マウスにipまたはpoで投与試験。その結果、最高用量では、DFNCSCE (姉妹染色分体交換) CA (染色体異常) の双方で+。ASASCEで、NaSALCAで弱い遺伝毒性を示した。11)

 

3. 催奇形成

1) サリチル酸ナトリウムは180mg/kgを器官形成期の妊娠ラットに経口投与した場合に顕著な胚毒性と関連した催奇形性を示し、90mg/kgでは胎児の成長遅延とわずかな催奇形性を示した。30mg/kgでは母ラット及び子には副作用は示さなかった。またデータは示していないが、アスピリン及びサリチル酸にも類似の作用が認められた。12)

2) 2ヶ月令の体重約200gSprague-Dawley由来のハイブリットのアルビノ未経産雌ラットを交配し、妊娠615日にサリチル酸ナトリウムを3090180mg/kg経口投与し、妊娠21日にと殺し胎児を観察した。対照群は無投与とした。A、B、C群はいずれも約1847%の胚致死率と約746%の奇形率を示したが、賦形剤の種類及び賦形剤の量によってこれらの率は若干異なっていた。12)

 

4. 胚毒性

 サリチル酸は実験動物で胎仔致死、発育遅延、先天異常を起こすことがわかっている化合である。ASA (アセチルサリチル酸)SAL (サリチル酸)NaSAL (サリチル酸ナトリウム) が器官形成期初期に及ぼす影響、抗酸化剤との干渉を調べた。着床後のラット胚を48時間培養して、ASASALNaSALを加えた。NaSALは発育パラーター (卵黄のう直径、体長、胚内卵黄のうの蛋白含量) に最も作用。SALは変異パラメーター (形態的スコア、体節数) に最も作用。ASAASA+グルタチオン間には胚の発育に有意差はなかった。13)

 

 

[出典]

 

1)  吐山豊秋 (1993) 家畜診療第35845-52

2)  仲川義人編 (1994) 医薬品相互作用 医薬ジャーナル社

3)  日本医薬情報センター編 (1996) 日本医薬品集552-553 薬業事報社

4)  高杉益充 (1973) 薬物の副作用94-96 医歯薬出版

5)  森潔 (1989) 注射剤ハンドブック23-24 富士書院

6)  中村良一 (1979) 家畜内科治療学237-239 ()養賢堂

7)  吐山豊秋 (1993) 家畜診療第36037-38

8)  メルク獣医マニュアル第71560-1564

9)  日本医薬情報センター編 (1996) 日本医薬品集553 薬業事報社

10) Kuboyama.N (1992) J.Nihon UnivSch.Dent343183-195

11) Giri A K et.al. (1996) Mutat Res 370119

12) Fritz.H (1990) Pharmacol 40 suppl 11-28

13) Karabult A K et.al. (1996) Teratology 53531A